メコン川の中流域に位置する東南アジア唯一の内陸国、ラオス。ルアンパバーンは、その北部地域に位置します。観光地としても有名な街の中心部から車を30分も走らせると、山々を望む農村部の景色が現れます。 そんなルアンパバーンの山奥には、伝統的な焼畑農法を営む山岳少数民族の人たちがいます。毎朝早くに山に出かけて行っては、森を拓いた畑で陸稲や野菜を育て、休閑地でキノコや薬草を採り、森の中で狩りをし、草木で布を美しい色に染める。子ども達は木を削り作ったコマや手作りのボールで遊ぶ。そんな人々にとって森は、生活そのものでした。
しかしながら人口増加や貨幣経済の流入により、焼畑はもはや持続可能な農法ではなくなっているのです。焼畑のサイクルは加速し、森林がゴムやトウモロコシのプランテーションに置き換わっていき、土が痩せてしまっています。 これまでの森とともにあった暮らしが変わって来ているのです。
私たちの現地パートナー、サフロンコーヒー。2006年からルアンパバーン地域でコーヒーの生産に携わっています。この地域はケシ栽培のゴールデントライアングルにあたる地域です。当時、モン族やガサック族、クム族の人々は麻薬アヘンの原料になる非合法のケシ栽培を中心に生計を立てていたといました。
そこでサフロンコーヒーが取り組み始めたのが、木々の日陰で作物を育てるアグロフォレストリーという農法を用いたコーヒー栽培でした。日陰でも育つコーヒーにより、森を守りながらケシに代わる現金収入の手段をつくろうとしたのです。以来、農家さんたちと地道に関係を築き、少しずつあゆみを進めてきました。
実りあるものに
2023年海ノ向こうコーヒーはサフロンコーヒー、そして国連WFPとの連携プロジェクト「Coffee Japan Project」を開始。ルアンパバーン地域の約300の農家さん家庭を対象に、コーヒー栽培を通した収入向上による栄養改善の取り組みを行っています。このコーヒーはプロジェクト地域の村周辺から届いたもの。「マークマイ」はラオスの言葉で「実」や「実り」を意味する言葉。現地の人々には馴染みのある言葉です。
このプロジェクトが、村の人々にとっても、サフロンコーヒーにとっても、そして私たちにとっても実りの多いものになるようにという想いを込めて、その名前を付けました。これから毎年、少しずつ味わいの深まっていくコーヒーです。

未来への種まき
このプロジェクトを通じて、計162,300本の苗木を配布し、新たに473名の農家がコーヒー栽培に取り組み始めました。また、4か所の加工施設を設立するとともに、海ノ向こうコーヒーはサフロンコーヒーと協同で、栽培から収穫、加工、アグロフォレストリーに関することなどさまざまなテーマを取り上げた27回の研修を実施しました。
「コーヒーを植えることで希望が持てるようになった。これから先も収入を得て、家族を養いながら、同時に周りの自然環境も守っていきたい。」
「今では家族と一緒に過ごす時間が増えた。コーヒー農園で働けるおかげで、出稼ぎのためにもう村を離れる必要がなくなった。」
など、現地からは前向きな声も寄せられています。
